2026.07.06 眼の病気
涙が止まらない「流涙症」とは?原因・症状・治療法を専門医が解説
- 流涙症とは?涙が止まらない原因を分かりやすく解説
- こんな症状は要注意!流涙症のサイン
- 流涙症の検査方法|痛み・時間・費用を詳しく解説
- 治療法のすべて|点眼・ブジー・手術はどんなときに必要?
- 症例紹介|実際に改善した患者のケース
- 流涙症を悪化させない生活のポイント
- まとめ|涙が止まらないときは早めの受診が大切
流涙症とは?涙が止まらない原因を分かりやすく解説
涙が止まらない、勝手にあふれてくる----そんな症状に悩む方は多く、日常生活に支障をきたすこともあります。
流涙症は、涙が必要以上に分泌される場合と、涙の通り道が詰まって排水できない場合のどちらでも起こります。まずは、涙の仕組みを理解することで、なぜ涙があふれるのかが見えてきます。
涙があふれる仕組みと正常な涙の流れ
涙は、目の表面を守るために常に少量が分泌されています。涙腺で作られた涙は、まばたきによって目全体に広がり、角膜を保護しながら潤いを保ちます。その後、涙は目頭にある「涙点」という小さな穴から吸い込まれ、涙小管 → 涙嚢 → 鼻涙管を通って鼻へと排出されます。これが正常な涙の流れです。
しかし、この流れのどこかに異常が起こると、涙があふれてしまいます。例えば、アレルギーやドライアイなどで目が刺激されると、反射的に涙が大量に分泌されます。
また、涙点や涙道が狭くなったり詰まったりすると、涙が鼻へ流れず、行き場を失った涙が目の外へあふれ出ます。
特に高齢者では、加齢によって涙道が狭くなりやすく、流涙症が起こりやすい傾向があります。
患者さんの中には「涙が多いのは年齢のせい」と思い込んで受診を遅らせてしまう方もいますが、涙道の詰まりは治療で改善できるケースが多く、早めの受診が大切です。
流涙症が起こる主な原因(涙の出すぎ・排水の詰まり)
流涙症の原因は大きく2つに分類されます。
① 涙が出すぎるタイプ(分泌過多)
アレルギー性結膜炎、ドライアイ、角膜の傷、逆さまつげなど、目に刺激が加わると涙が反射的に大量に分泌されます。特にドライアイは「乾く → 刺激 → 涙が出る」という悪循環を起こし、涙が止まらない原因になります。患者さんの中には「涙が出るのにドライアイと言われて驚いた」という方も多く、意外と知られていない原因です。
② 涙が流れないタイプ(排出障害)
涙点の閉塞、涙小管の狭窄、鼻涙管の閉塞など、涙の通り道が詰まることで涙が鼻へ流れず、目の外へあふれます。特に片目だけ涙が出る場合は、このタイプが疑われます。高齢者に多いほか、慢性的な鼻炎や副鼻腔炎が原因になることもあります。
実際、当院に来院した70代男性は「外に出ると右目だけ涙が止まらない」という症状で受診され、検査の結果、鼻涙管の閉塞が判明しました。涙道の詰まりは自然に治ることは少なく、適切な治療が必要です。
こんな症状は要注意!流涙症のサイン
涙が止まらないといっても、その原因や症状の出方は人によってさまざまです。片目だけに起こる場合、外に出たときだけ涙があふれる場合、目やにを伴う場合など、症状の違いによって疑われる原因も変わります。ここでは、流涙症の代表的な症状と、実際に患者さんが受診に至ったきっかけを紹介します。
片目だけ涙が出る場合に多い原因
片目だけ涙が止まらない場合、最も疑われるのは「涙道の詰まり(涙道閉塞・狭窄)」です。涙は通常、左右それぞれの涙点から涙道を通って鼻へ流れていきますが、片側だけ詰まると、その目だけ涙があふれるようになります。患者さんの中には「右目だけいつも涙が出るので、ドライアイだと思っていた」という方も多く、自己判断で点眼を続けて悪化させてしまうケースもあります。
実際、当院を受診した50代女性は「朝から晩まで右目だけ涙が出る」という症状で来院されました。検査の結果、右側の鼻涙管がほぼ完全に閉塞しており、涙が鼻へ流れない状態でした。涙道ブジー(涙道拡張術)を数回行ったところ、症状は大きく改善し、日常生活のストレスがなくなったと喜ばれていました。
片目だけの流涙は、自然に治ることは少なく、放置すると炎症を起こして目やにが増えたり、涙嚢炎に進行することもあります。早めの受診が大切です。
外に出ると涙が止まらない理由
「外に出ると涙が出る」「風が当たると涙があふれる」という症状は、流涙症の患者さんに非常に多い訴えです。これは、外気の乾燥や風による刺激で涙が反射的に分泌されるためです。特にドライアイがある人は、目の表面が乾燥しやすく、わずかな刺激でも涙が大量に出てしまいます。
また、涙道が狭くなっている場合も、外出時に症状が悪化しやすい傾向があります。涙の排出が追いつかないため、少し涙が増えただけであふれてしまうのです。
当院に来院した60代男性は「散歩中だけ涙が止まらない」という症状で受診されました。検査の結果、軽度の涙道狭窄とドライアイが併発しており、点眼治療と涙道ブジーを組み合わせることで症状が改善しました。「外出が億劫だったが、今は快適に歩ける」と話されていました。
外出時の流涙は「年齢のせい」と思われがちですが、治療で改善できるケースが多くあります。
流涙症の検査方法|痛み・時間・費用を詳しく解説
流涙症の原因は「涙が出すぎている」のか「涙が流れない」のかによって大きく異なります。そのため、正確な診断には専門的な検査が欠かせません。「痛いのでは?」「どんな検査をするの?」と不安に感じる方も多いですが、実際には短時間で終わるものがほとんどです。ここでは、当院で行っている検査内容を中心に、初めての方でも安心できるよう詳しく解説します。
涙道通水検査とは?
涙道通水検査は、涙の通り道(涙点〜鼻涙管)が詰まっていないかを調べる最も基本的な検査です。細い金属の管を涙点にそっと挿入し、生理食塩水を流して通り具合を確認します。「痛そう」と心配される方が多いですが、点眼麻酔を使用するため、強い痛みはほとんどありません。多くの患者さんが「思ったより全然痛くなかった」と話されます。
この検査では、
- 涙道がしっかり通っているか
- 狭くなっているのか
- 完全に詰まっているのか
を判断できます。
涙道の詰まりは自然に治ることが少ないため、通水検査は治療方針を決めるうえで非常に重要です。
涙液分泌検査(シルマーテスト)
涙液分泌検査(シルマーテスト)は、涙が「出すぎているのか」「逆に少なすぎるのか」を調べる検査です。下まぶたに細い紙を挟み、5分間でどれだけ涙がしみ込むかを測定します。痛みはほとんどなく、短時間で終わる検査です。
流涙症の患者さんの中には、実はドライアイが原因で涙が止まらないケースが多くあります。目が乾燥すると、表面が刺激されて反射的に涙が大量に分泌されるためです。涙が多いのにドライアイという矛盾した状態に驚く患者さんも少なくありません。
涙が多い=涙が出すぎているとは限らず、涙の質や量を正確に評価することが重要です。
顕微鏡検査(細隙灯検査)で目の表面の状態を確認
顕微鏡検査(細隙灯検査)は、目の表面やまぶた、涙の状態を詳しく観察する検査です。まぶたの裏側の炎症、角膜の傷、逆さまつげ、結膜炎など、涙が出る原因となる異常を直接確認できます。痛みはなく、数分で終わる検査です。
流涙症の患者さんの中には、涙道ではなく「目の表面のトラブル」が原因のケースも多くあります。例えば、アレルギー性結膜炎、ドライアイ、角膜の傷、逆さまつげなどが該当します。これらは顕微鏡検査で正確に診断できます。
顕微鏡検査は、涙道の問題だけでなく、目の表面の異常を見逃さないために欠かせない検査です。
治療法のすべて|点眼・ブジー・手術はどんなときに必要?
流涙症の治療は、原因によって大きく異なります。軽症であれば点眼治療だけで改善することもありますが、涙道が詰まっている場合はブジーや手術が必要になることもあります。ここでは、それぞれの治療法について詳しく解説し、手術が必要な場合の紹介体制についても説明します。
軽症で効果がある点眼治療
涙が出すぎるタイプの流涙症では、点眼治療が効果的なことがあります。アレルギー性結膜炎が原因の場合は抗アレルギー薬、ドライアイが原因の場合はヒアルロン酸点眼や涙の質を改善する点眼を使用します。角膜の傷がある場合は、保護作用のある点眼を併用することで症状が改善します。
点眼治療は副作用が少なく、患者さんの負担も軽いため、まず試す価値のある治療法です。
涙道ブジー(涙道拡張術)の流れと痛み
涙道が狭くなっている場合に行うのが「涙道ブジー(涙道拡張術)」です。細い金属の棒(ブジー)を涙道に挿入し、狭くなった部分を広げる治療です。点眼麻酔を使用するため、強い痛みはほとんどありません。治療時間は数分程度で、外来で行うことができます。
ブジーは比較的負担の少ない治療ですが、狭窄が強い場合や閉塞している場合は、ブジーだけでは改善が難しいこともあります。その場合は、より専門的な治療が必要になります。
涙道閉塞で必要な手術
涙道が完全に詰まっている場合や、ブジー治療で改善しない場合は、手術が必要になることがあります。代表的な手術は「涙嚢鼻腔吻合術(DCR)」で、涙嚢と鼻腔を直接つなぐことで涙の通り道を新しく作る方法です。手術は専門的な設備と技術が必要なため、当院では対応していません。
手術が必要と判断された場合は、涙道手術の実績が豊富な医療機関へ責任を持って紹介します。紹介先では、より詳しい検査と治療方針の説明が行われ、患者さんが安心して治療を受けられる体制が整っています。
症例紹介|実際に改善した患者のケース
流涙症は、原因が分かれば適切な治療で改善できる病気です。しかし、患者さん自身が「自分の症状がどのタイプなのか分からない」と不安を抱えていることが多く、受診をためらってしまうケースもあります。
ここでは、実際に当院を受診した尼崎市の患者さんの症例を紹介し、どのような経過で改善したのかを具体的にお伝えします。自分の症状と重ね合わせることで、受診のきっかけになるはずです。
40代女性:片目だけ涙が止まらず受診、ブジーで改善
40代女性は「右目だけ常に涙があふれてくる」という症状で来院されました。仕事中も涙が流れてしまい、周囲に心配されることがストレスになっていたとのこと。通水検査を行ったところ、右側の涙道が部分的に狭くなっており、涙が鼻へ流れにくい状態でした。
涙道ブジー(涙道拡張術)を行うと、狭窄部分が広がり、涙の流れが改善。治療後すぐに「涙があふれにくくなった」と実感され、数回の治療でほぼ症状が消失しました。患者さんは「もっと早く相談すればよかった」と話されており、片目だけの流涙は涙道の問題であることが多いと改めて感じさせられる症例でした。
30代女性:アレルギー性結膜炎が原因で涙が止まらなかったケース
30代女性は「涙が止まらず、仕事中に困る」という悩みで来院されました。片目ではなく両目から涙が出ており、目のかゆみや充血も伴っていました。検査の結果、涙道の詰まりはなく、アレルギー性結膜炎とドライアイが原因で涙が過剰に分泌されていることが分かりました。
抗アレルギー点眼とドライアイ治療を組み合わせることで、数週間で症状が大きく改善。「涙が出るのは治らないと思っていたので驚いた」と話されていました。流涙症は涙道だけが原因ではなく、アレルギーやドライアイが関係しているケースも多いため、正確な診断が重要です。
流涙症を悪化させない生活のポイント
流涙症は治療だけでなく、日常生活の工夫によっても症状を軽減できます。特に目の刺激を減らすこと、涙の質を整えることは、涙があふれにくい状態を作るうえで重要です。ここでは、今日から実践できる生活のポイントを紹介します。
目をこすらない・清潔を保つ
![]()
目をこする行為は、流涙症を悪化させる大きな原因になります。こすることで角膜に細かい傷がつき、刺激によって涙が反射的に分泌されるためです。また、細菌が入りやすくなり、結膜炎を引き起こすこともあります。
特に花粉症の季節は、かゆみから無意識に目をこすってしまう患者さんが多く、涙が止まらない原因になっています。目がかゆいときは、冷たいタオルでまぶたを冷やしたり、抗アレルギー点眼を使用することで症状を抑えることができます。
また、まつげの汚れやメイクの残りが涙の通り道を刺激することもあるため、目元を清潔に保つことも大切です。特に女性は、アイメイクが涙点に入り込むことで涙道が詰まりやすくなることがあるため、クレンジングを丁寧に行うことが予防につながります。
ドライアイとの関係と対策
![]()
意外に思われるかもしれませんが、ドライアイは流涙症の大きな原因の一つです。目が乾燥すると、表面が刺激されて「反射性の涙」が大量に分泌されます。この涙は質が悪く、すぐに蒸発してしまうため、さらに涙が出るという悪循環に陥ります。
ドライアイ対策としては、
- 加湿器を使う
- まばたきの回数を意識的に増やす
- パソコン作業の合間に休憩を入れる
- ヒアルロン酸点眼を使用する
などが効果的です。
当院でも、涙が止まらないと訴える患者さんの多くがドライアイを併発しており、適切な治療で症状が改善しています。涙が多いからといってドライアイを否定することはできず、むしろ両者は密接に関係しています。
花粉症・アレルギーがある人の注意点
花粉症やアレルギー性結膜炎は、涙が止まらない原因として非常に多い疾患です。アレルギーによって目の表面が炎症を起こし、かゆみや充血が生じると、反射的に涙が大量に分泌されます。また、目をこすることで角膜に傷がつき、さらに涙が出やすくなる悪循環に陥ります。
花粉症の時期は、外出時にメガネを着用することで花粉の付着を減らすことができます。また、帰宅後は顔を洗い、まつげやまぶたについた花粉を落とすことも重要です。抗アレルギー点眼を早めに使用することで、症状の悪化を防ぐことができます。
アレルギー体質の患者さんは、涙道が炎症で狭くなりやすい傾向があるため、流涙症を繰り返すこともあります。症状が続く場合は、涙道の検査を受けることをおすすめします。
まとめ|涙が止まらないときは早めの受診が大切
流涙症は、原因を特定し、適切な治療を行えば改善できる病気です。「年齢のせい」「そのうち治る」と思って放置すると、症状が悪化したり、涙道が完全に詰まって手術が必要になることもあります。早めの受診が、快適な生活への第一歩です。
今日からできるセルフケア
流涙症を悪化させないためには、日常生活の中でできる小さな工夫が大切です。
- 目をこすらない
- 目元を清潔に保つ
- ドライアイ対策をする
- 花粉症・アレルギーの治療を早めに行う
- 外出時は風や乾燥を避ける
これらの対策は、涙の分泌を抑えるだけでなく、涙道への負担を減らすことにもつながります。特にドライアイやアレルギーがある方は、症状が悪化しやすいため、早めのケアが重要です。
不安を感じたら眼科へ相談を
涙が止まらない症状は、生活の質を大きく下げるだけでなく、放置すると治療が難しくなることもあります。涙道が完全に閉塞している場合は手術が必要になることがありますが、当院では手術に対応していないため、必要に応じて専門医療機関へ責任を持って紹介します。
「片目だけ涙が出る」「外に出ると涙が止まらない」「涙が多くて生活に支障がある」など、どんな小さな悩みでも構いません。
早めに相談することで、治療の選択肢が広がり、改善までの時間も短くなります。涙が止まらない症状でお困りの方は、日本眼科学会 眼科専門医のいる尼崎市の兵頭内科眼科・ハートクリニックへぜひ一度ご相談ください。
監修医師
- 兵頭内科眼科・ハートクリニック
- 眼科医:檀上陽子
- 大阪市立大学医学部を卒業
- 所在地:〒661-0001 兵庫県尼崎市塚口本町1-21-5
資格・専門医資格
- 日本眼科学会 眼科専門医







